EVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-1
目を閉じて、深く息を吸って、吐き出しながら目を開けると、おれはマイクスタンドを握り締めた。
四方を囲む面々。ベースのたから、ギターのシゲ、ドラムスのまさやんを見やると、あきらは片手を上げて「ヘイ!」と笑い、シゲはこどもの頃から変わらずに静かに見据えて、またやんは力強く頷いてスティックをクロスさせると、カウントを始める。
分厚くて尖って、でも優しくて懐かしいような激しい音の洪水の中、おれは初めて自分として書いた詞を声に乗せた。
莉奈―これが、君に渡せなかったおれからの、最初で最後の、永遠のラヴレターだよ。
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