ワライナキ

松野莉奈さんモデルの小説書いてます(こんな主演ドラマ見たいなと!)

EVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-13

「はじめまして、拓也くんと重伸くんと同じクラスで仲良くしてもらっている松野莉奈です。今日はお越しくださって、ありがとうございます!」

 はにかみながらも、にこやかにハキハキと物怖じせず二人の目を見て挨拶すると、綺麗な姿勢を保ったまま頭を下げた。

 「こちらこそ、はじめまして、拓也の母親のひとみです。莉奈ちゃん、まあ、なんてお人形さんみたいに可愛らしいのかしら!いつも、拓也がありがとうね!」

 かーちゃん、目をウルウルさせながら、両手で莉奈の手を包み込んだ。

「莉奈ちゃん、はじめましてぇ!重伸の父の圭哉ですう!ホンマに、フランスのおにんぎょはんみたいやー。せや、たこ焼き好きなんやってな!パパさん、かっさんと仲良しさんにならせてもろたから、今度たこ焼きパーティやろか!」

「はい、ぜひ!わ、わー、嬉しいっ!たくたくからしげちゃんパパがたこ焼き器持ってて焼いてくれるって聞いて、いいなーって言ってたんです!!」

「圭哉くんとさ、LINE交換しちゃった!今度飲みに行く約束もしたんだぜぃ!」

 人差し指と親指を伸ばして顎に当ててキメ顔をするかっつんさんにみんなして大笑いし、ひなた、タリくん、シドとも、かーちゃんとおっちゃんは挨拶を交わし、3人ともすぐに打ち解けた。そして、大人気でかっさんとおっちゃんのスキンヘッダーズのツーショット撮影会化している。

 それからすぐにインターホンが鳴り、莉奈が応対すると、のんびりとしたぽーの声がし、玄関でみんなでお出迎えした。

「どうも!はじめまして、小林歌穂の父です。本日はお邪魔になります」

 うわ、ぽーのとーちゃんもかっこいい…スラっと長身でなんせ甘い顔立ちでオプション爽やかでキラキラ少女漫画実写化?な感じ。かっさんとおっちゃんコンビが「ほおお~えっろう色男や~」(←かっさんもつられて関西弁になってるや)と感嘆している。

「はじめまして~莉奈ちゃんと同じクラスで仲良くしてもらってる小林歌穂です~!」

 ぽー、赤いベレー帽がすっげえ似合ってる!

「歌穂の母でございます。歌穂が、莉奈ちゃんと仲良くしていただいて、私たちまでお招きくださって、ありがとうございます~」

 ぽーのかーちゃん、もうしゃべるトーンが一緒で、一発で母娘ってわかる。それに、日本美人、着物が似合いそうで、小料理屋のおかみさんっぽい!

 小林家も松野家と挨拶を交わし合い、莉奈はぽーの手を引っ張り、莉奈のママはぽーのかーちゃんに「ね、お名前何て言うの?もうタメ口でいきましょ!」「多江ですぅ」、かっさんとおっちゃんもぽーちゃんのとーちゃんを取り囲み名前を聞いて、ぽーのとーちゃんは「僕は泰之です。お二人、すごいですね!迫力ありますねぇ!ワイルドでパンク!?いよーはあっのあの人みたいですよ!」って…こっちも、いつぞやのぽー語録彷彿だぜ。

 そうして、全員集合し、やっとリビングダイニングへ移動し、おれらはテーブルに並べられた色とりどりのたくさんの料理の皿に歓声を上げた。

「いろんなものをちょっとずつ食べられるようにってバイキング形式にしたのよ!あ、男子たち、足りねーよ!の心配はないわよー。この後もね、パスタとピザ待機してるから!」

 莉奈のママのウィンクにうえーいって腕突き上げるタリくんに手を叩くシゲ。

「ピザはかっつんが生地から手作りしてまーす」

 莉奈の発言に、ひなたとぽーが手拍子しながら「かっつん!かっつん!」コールを始め、シドもぽーかーちゃんも加わり(←じわじわくる組み合わせ)、かっさんが静粛に!というジェスチャーでセンターに出て、パルプフィクション、あ、いや元ネタのサタデーナイトフィーバーのトラボルタダンスを始めた。そこへひなたも加わり、おれらはひゅーってコールしながら、手拍子から思い思いにリズムに乗った。

 タリくんとおれは対バンあるいはフェスのノリで、莉奈とシドのあれはアイアヤカだ!、シゲは意外にもヘッドバンキングしてて、おっちゃんとかーちゃんはフォークダンスしてるし…ぽーが身のこなしが軽やかでうまい…R&Bか?ブラックのノリで、へえっ!?ぽーのとーちゃんとかーちゃんが向き合ってノリノリになってるや…

「え、じゃあ、お二人の出会いって」

「はい、クラブだったんですよ!ちょうどね、僕ら20代の頃U.F.O.にフリーソウルが流行ってて。週末はオルガンバーやルーム通ったなー。モボ・モガでごはん食べて。はっはっは!」

「私も、渋谷系がすご~く好きで、オリジナル・ラヴカヒミ・カリィに憧れてて~」

「あたしもね、よく遊んだわー!西麻布のYellow!」

「まあ、みんな、お洒落なのね~!私は浅草と上野だったわね~」

「俺なんぞ、中野一本やでえ!しみったれたホテルの地下にあった、区内唯一やのに、マニアックなのばっかかけとる映画館がデートスポットやったなー」

 ライヴが終了し、かっさん音頭のもと乾杯して、おれらはジュースやソーダ割りを飲み、お皿の料理ももりもりと平らげ、今は親チーム、子供チームに別れてトークが弾んでいた。親チームは輪になって、ぽーのとーちゃんかーちゃんのなれそめを聞いて、大いに盛り上がって、LINEグループ作ろう!って入学したてのおれらようにはしゃいでいる。

「ね、ねー、グループ名、何にする?」

「子供たち7人だからー」

「7人組」

「セブン、セブンス…うーん」

「じゃあ、いっそ、日本語で、ナナニン?七…」

「七色、セブンカラー、セブンカラーズ?」

「あ!なないろって莉奈の誕生日、7月16日だあっ!!」

「あら~!じゃあ、今日のきっかけを作ってくれた、莉奈ちゃんをシンボリックとして、ナナイローとか」

「ナナイロズ!いいんじゃないかな!」

 おれは大好きで信頼してやまないおっちゃんとかーちゃんがかっさんと莉奈のママと仲良くなって、すごく嬉しく思ってる。でも、ひなたんちはお店やってるってこれなくて、両親から動画メッセージを持ってきたんだけど、これがもう爆笑ものだった。

「え、えーと、うちのお父さん、おじいちゃんなんで見て驚かないでくださいっ!」

 そう前置きしてからスマホを横にして再生するとー

『うっ、こほっ。か、柏木ひなたの父親のっ、柏木丈雄と申します!ご友人の莉奈さん、また御父上と御母上様っ、本日はせっかくのご招待をいただいたに関わらず、家商売をしている故、参ることができず大変失礼申し上げますっ!』

『お父さんっ!硬い、硬いよっ!!』

『てやんでぇ!挨拶は人付き合いの始まりだっ。おめえこそもちょっと落ち着けっ!!』

『なんなのっ、その時代劇みたいなしゃべり!?』

『お父さん、ひな、まーまー、今撮ってるんだから…』

 ひなたとひなたとーちゃんは画面越しに言い合いを始める。思いっきりスマホに寄ってきて画面いっぱいにとーちゃんアップ!おじいちゃんて言うけど、渋くて声も美声ってやつだし、昔の映画俳優みたいでかっこいい。そんなひなたとーちゃんは左に“柏木いちご園”、右に“海の家かしわぎ”って書かれた濃紺のハッピ着用に正座で確かに時代劇っぽい…(笑)

 ひなたんちは千葉でいちご農園をやっている。しかも夏は海の家もやってるんだそうだ。なので、とーちゃんかーちゃんともに殆ど休みなく動きまくってるそうだ。

『お父さん寄りすぎっ!画面がブレるわっ!素人なのっ!?素人か…ひなっ、撮って!お母さん、撮りなさいっ』

お、かーちゃんは若い。パッツン前髪に前下がりに切り揃えられたショートがかっこいい。始めはとーちゃんの横で穏やかに笑って手を振っていたけど、ひなたととーちゃんの言い合いがヒートアップすると、眼力を鋭くさせ一喝し、一瞬にして二人を黙らせた。傾いていたフレームがまっすぐに修正され、横のとーちゃんが正座した腿を開きぽかーんと口を開けている画にみんなしてお腹抱えて大笑いし、もう頬骨が痛いや…

『りななんちゃん、この前はお電話でお話してくれてありがとう~!りななんちゃんのパパ・マ

マ、それから他のみなさん、はじめまして、ひなたの母の椿です!いつもひなたからみんなのおかげで学校が楽しいって聞いてます!ひなたと仲良くしてくれてありがとう。これからも、どうぞ仲良くしてあげてくださいね!今日はぜひお伺いしたかったんだけど、うち今はいちご狩りピークでごめんなさいね…僻地なんで遠くなりますが、今度ぜひこちらにも遊びに来てください。大したおもてなしできないけど、みなさんとお会いしたいです!』

『精魂込めた自慢のいちごたちです!ぜひ食べてやってくださいっ』

 すごい、かーちゃんが見事回収してまとめた!とーちゃんもいちご愛+握りこぶしでいい笑顔だ。

『これ、本当に撮れてんのか?テレビみてぇなもんだよな?俺映ってんのか?』

『おっとうさん!』

 最後またとーちゃんの画面いっぱいアップでフレームアウトした…(笑)

「すっ、すいません…変な親で!」

「あら、なんでよぉ?楽しくって素敵なご両親じゃない!ひなちゃんへの愛情たっぷり込められてるの、伝わってくるわ」

 真っ赤になって謝るひなたに莉奈のママが優しく笑って肩に触れてる。

「そうだよー。パパ渋くて、ママもロックな感じでかっこいいね!」

「ひなたちゃんはストロベリープリンセスなんだね」

「……!??」

 ぽーのとーちゃん発言に一瞬固まったひなたがゆでダコみたいに真っ赤っかーになって本格的に照れてしまった。

 おっちゃんとかっさんはワイングラスに口をつけようとしたまま止まってる。そんな二人に「ん?」って感じで眉と口角をくいっと上げてタコのカルパッチョを味わうぽーのとーちゃん。

「わー、ディズニープリンセスみたいだ」

「おや、シドくんもディズニーが好きかい?おじさんも好きでね!年間パスポート持ってるような大ファンじゃないんだけど、ディズニーシーのあの空間が良くってねぇ」

「そう~お父さんね、行く前は水辺でお酒飲んでまったりできたらいいなんて言ってたのに、いざランドの中入ったら、ぐわーってテンション上がっちゃってすごかったんだよ~」

「へぇ、そうなんだ」

 シドの横で莉奈とひなたが「わー、ディズニー行きたいっ行きたい」とぽーのとーちゃんと盛り上がってる。

「僕、行ったことない」

 シドが発した言葉にみんな固まった。あ、そうか…と納得した時、

「シドくん、今度一緒に行こう!おじさん、いろいろ案内できるよー!もう君可愛いなぁ、うちの子にしちゃいたいくらいだ!一緒にミッキーと写真撮ろうね!」

 ぽーのとーちゃんがくしゃくしゃっとシドの頭を撫でて、目尻を下げて笑った。シドが瞬きを繰り返して下を向いてこくこくっと頷いた。

 ぽーのとーちゃんがどこまで知ってるのかわからないけど、そんなの関係ないくらい、とても自然で、今この場の空気はとても温かい。

「さ、じゃあ、柏木ストロベリープリンセス、お出ししちゃおっかな!」

「わー!待ってたんだ!」

「ちょ!今日子ママぁー!!」

 ストロベリープリンセスカムバック!で再びひなたは真っ赤になって手をバタバタさせた。

「ふへ、ひなたが大人しく恥じらう姿、初めて見たなー!ひっひ、超レアもん!」

「何よっ、タリっ!もーあんたはぁー!!」

 ひなたがタリくんの腕をバシバシっはたきまくる。

「さあ、どうぞー!たっくさん、ひなちゃんパパとママからいただいたから、まずはこのままいただきましょうね!」

 透けガラスのきれいな皿にみっちり並ぶ見事な大粒の瑞々しいいちごたちに、みんな感嘆の声を上げる。スーパーでこんなの売ってない!

 ひなたと今日子ママにありがとう、いただきますと言って、口に入れると、みんなしてしばし沈黙。もう言葉見つからないくらいうまい…

 ん?みんながほわわわ~んとなってる中、今日子ママが静かに立ってキッチンへ向かうと、そっと莉奈も続いた。小声で何か言ってる。頷く莉奈。今日子ママがシンクの下から小鍋やボールを取り出してる。ひなたが持ってきてくれたいちごは3箱だった。

 いつもああやって今日子ママとお菓子作りしてんだなとプライベートな姿をたくさん見ることができて、今日は収穫だらけだ。ニヤけそうになる顔を抑えるべく目線を戻すと、かっさんとおっちゃんとガハハハと笑い合ってるタリくんが目に入る。

タリくんは普段から家族のことは話さなくって、今日も「うち堅物だからさ、俺こんなだから折り合い悪りぃのよ!」って笑い飛ばした。シドは言わずもがなだけど、まだ会ったことないけどじいやさんがいて、おれらの中ではおなじみの存在だ。

 でもって、変に気を遣うのはいやだし、何よりタリくんがそういう建前を嫌がるから、おれはいつもどおり、全身全霊嘘つかずに彼に接する。それでいいんだ。

 そう思いながら柏木ストロベリープリンセスの後に出されたカフェオレとデザートの一口サイズのガトーショコラと抹茶のチーズケーキがうますぎて止まらない。

「おーい、まったりしとんなぁ!おっさんだけど、入れてくれるかぁ?」

 みんなして踊ったし、写真撮りまくって、しゃべりまくったしで、お腹いっぱいになってトロンとしていると、コーヒーのマグカップを手におっちゃんがしゃがみ込んで笑っていた。

ジャイアンくんのパパ~!」

ジャイアントコーンのパパ!」

「シゲのパパ!」

 おっちゃんは男女問わず大人気だ。ひなたもぽーもシドも既に懐いてる。

「なあ、みんなさあ、いっつも夏休みにな、拓也とシゲ、キャンプ連れてっとんのやけど、よかったら君らも一緒に行かへんか?かっさんとヤスくんとも相談してな。おっちゃんたちで車出すから」

 あれ?シゲは…くるり振り向くと、いつの間にかキッチンで今日子ママのアシスタントをしていた。莉奈はダイニングテーブルにいくつかの小さな器とケーキの型を並べている。

 なんだか妙に笑える画でおれはぷぷっと吹いた。

 ちなみにこれは帰りに配られたお土産で、ひなたにはホールで、いちごムースとレアチーズの二層タルトだった。

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