ワライナキ

松野莉奈さんモデルの小説書いてます(こんな主演ドラマ見たいなと!)

EVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-7

「えっ!?ひっひなた、彼氏いんのっ!??」

 口にいれかけたホットドッグを握ってタリくんが飛びのいて驚いた声を上げた。

「何よっそんな驚くこと!?あたしにいちゃ悪いわけっ?」

  へえ、そうなのかー声に出さずに心で思う。莉奈とぽーはうんうん頷いてる。そう言えば、こっち側は弁当の中身で盛り上がってたから、聞いちゃなかったな。

「だっ、誰なんだよ?ちゅ、中学ん時の奴?」

「違ーう。ダンススクールの先輩」

「へ、へーえ」

 タリくん、平静装ってるけど、かなり動揺してるな…おれはずっとそばにいて何となく彼の気持ちがわかってしまっていた。はじめはおれのがバレてるかなとヒヤヒヤしてたんだけど、すぐにああって納得した。

「いいねぇーひなたん、中学生の頃から彼氏いるなんて~」

 のほほんと笑いながらぱくっと卵焼きを食べるぽー。

「そゆうぽーちゃんこそどーなのよ!?いいと思ってる人いないのっ?あ、タイプどんな人?芸能人とか」

ハジメちゃん!」

「え?誰っだれだれよ!?」

「はっははは…ぽーちゃんも中学ん時からか?」

 タリくん魂抜けかけちゃってるや…それでも盛り上がってるひなたと一緒にぽーに相槌を打ってさすがの気遣い職人ぶりだ。

「ううん、私より年上でぇ」

「えっえっ先輩なのっ!?どんな感じっ?」

「はっは。みんな年上好みなんだな…」

「せんぱい…私よりずっと年上って言うか、生まれる前からの人で、生まれる前に散ってしまった人でぇ」

「は?」

 ひなたとタリくん二人揃って声合わせてジト目になってぽーににじり寄る。

「ちょ、どしたの~二人ともぉ刑事さんみたいでこわいよ~」

「だって何言ってっかわっかんないよっ!?バカにもわかるように言ってよ!!」

「そうそ。何?生まれる前から?生まれる前に散ったってかなり不穏じゃね?」

「んーだって幕末の志士なんだもん。ジャジャーン、この人でぇす!」

 ピッピッてスマホをいじってたぽーがかざしたのをすかさず覗き込む二人。

「こ、これって…」

「幕末恋華新選組斎藤一さまでぇす!も~うクールで剣の達人で長生きした素敵な人なんだよ~」

「はー」

「二次元ってヤツか…」

「ぽーちゃん歴女さんなんだね。確かに新選組はかっこいいよね」

 シゲなんかそれちょい的外れじゃないか?

「わ、鬼太郎ヘアが決まってるねぇ。それに着こなしこだわりある感じ。幕末のファッションアイコンだ」

「わ~さすがりななん!」

「あ、りななんはどうなんだ?相当モテただろ?」

 お、タリくん切り込むか!?ずっと気になってた。

「へ?わたし?いやいや、いないし、つき合ったこともないもの」

 あっさりとカラカラと笑いながらそう言い放つ。

「そうなんだよねー意外だよ。あたしが男子だったらりななんほっとかないもん」

「おーおー。だよなー。りななん、どんなヤツがタイプなんだよ?」

「えー、やだー、照れちゃうじゃん!あははー、でね、私はっ全力ランナー!」

「へ、へっへっ?」

 今度はタリくん一人が顔突き出した。

「あ、もしかしてアイアヤカ?僕好き」

「わあ、シドちゃん、ほんと気合うよねぇ!そうなのっ!アイアヤカ、私あの子たち歌も二人自体も大好きなんだ!」

 へえ、そうか…メモメモっと。アイアヤカとは、子役上がりのアイドル二人組であいかと彩花でアイアヤカ。アイドルにしては二人とも声がよく通って、また歌も上手くって、結構攻めたハードロック寄りの楽曲が多い。

「で、全力ランナーって、ああ!あのCMの曲かー!」

 タリくん、やっと合点いったようだ。

「そうそう!エネルゲーーーーン!!!!!!の!私の頭ポンポン叩けるとかって歌詞がもう可愛くってさぁ。私そういうのにめっちゃ憧れてるんだ!きゃあー」

 テンション高く言うと、莉奈はほっぺたを両手で押さえながらクネクネっと身体を揺らした。

「すごい、りななん語るね~でも、わかるよ~その気持ち!」

「でしょお!ぽーちゃんもハジメちゃんに頭ポンポンしてほしいでしょ?」

「うん!してほしいほしい~!」

 そう共感して今度は二人して地団駄踏んでるや。ふっ。頭ポンポンいつでもしてやるって。

「ねーヤナタクとシドはー?彼女いんの?」

 忘れてた頃にひなたが振ってきた。おれもシドも首を横に振る。

「今は、いないよ」

「僕も。モテないし、別にいいし」

 シドあっさりしてんなぁ。

「そっか、んじゃ、ひなただけだな!」

 半ばやけ気味に言い放つと、ああああーとがくっとタリくんは項垂れた。

「ヤナタクもタリも意外だね。2人こそモテそうなのに」

 シドがペットボトルのミルクティーをこくこくっと飲みながら言う。

 でも、史上最大級に好きな子なら、いるからな。ぽーとシゲとアイアヤカの話題で盛り上がる莉奈を見やりながら想う。そいや、シゲの奴、バラエティに出てるアイアヤカ見て結構ふふって笑ってるな。あいかはしゃべるとめちゃめちゃアニメ声で歌うと大人びた変幻自在のヴォーカルっぷりで、彩花は歌ってる時はしっかりしてるのに、フリートークとなると勢いあるけど、噛みまくるんだよな。

 おれもあの二人の歌う曲結構好きだな。正直、今出てきてるバンドやアーティストはあまり心に刺さらなくって、別れたとーちゃんと一緒に今はタイにいるにーちゃんの影響でその世代に一台ムーブメント巻き起こしたバンドたちに僕は惹かれていた。だから、中学の頃はてんで周りとは音楽の話は合わなかった。かーちゃんは持ってるのは知ってるけど見つからないようにして、にーちゃんが別れ際にくれたお下がりのギターを部屋で弾いていた。

 コードとコピーの仕方もにーちゃんから教わって、学校から疎外されたおれはのめり込んで、またそのおかげで生きていられた。

 今のおれらにウケているバンドからしたらレジェンド級のバンドたちの曲と詞、またパフォーマンスしてる姿は釘付けになるかっこよさで、演奏自体下手くそなくせに僕は居ても立っても居られないくらい衝動で、鏡を見ながらどうやったらこんなに艶っていうのか、かっこよく弾けるんだろうって無我夢中で練習していた。

 そんな中、今度はおれも自分の思想ってやつを、カタチにできたらって今度は焦がれていくこととなる。

 それは莉奈に出逢って、君のことを曲にしたいって、君に見てほしい聴いてほしいって気持ちが加速していった。

「ひなた、休みん時はやっぱデートだろ?」

「は?何よ、藪から棒に?」

 おれがふつふつと想っていると、ははっておれには涙目で笑っているのが見えるよ…なタリくんがひなたに話を振っていた。

「いんや、みんなでさ、休みの日にどっか遊び行けたらなーって思ってたんだけどさ、彼氏持ちなら誘っちゃわりぃかなってさ」

「わあ~どこ行くの~?なんだか、楽しそう~!」

「うん!僕も行きたいっ!」

 ガヤのぽーとシドが目を輝かせていち早くリアクション返し。

「え?あたしも行きたい行きたいっ!そんなの関係ないよっ。だってスクールで会ってるし、向こうだって友達いるしさ、そんな毎週毎週デートなんてしないよ。それよりっ絶対にあたしハブらないでよっ!!!」

 ひなた、そこかよ…(笑)!さっきのシゲみたいだ。

「どこどこ?俺も行くよ!」

 シゲもノリノリになって挙手までしてるや。

「はーい。私も参加ぁー!」

 莉奈もシゲにつられて腕を伸ばした。

「タリ、なんか計画あんの?」

 おれはにやっと笑ってタリくんを見据えた。

「あいよ!遠足っつーかさ、デカい公園でアスレチックとかどうかなってさ」

 シャツの胸ポケットからスマホを引き抜いて片手でピッピッて操作した画面をみんな覗き込んで目を輝かせて声を上げた。

 

「いよっしゃー!!行っくぞぉぉぉーっ!!!」

「おっおおおー!!!おっおおおー!!!」

「何これ!?マジ燃えてくるわぁぁぁーっ!!!」

 みんなで予定確認して早速その週の日曜におれらは初の課外活動、遠足を決行することとなった。タリくんがピックアップしてきた都内随一のアスレチック公園の最寄り駅で待ち合わせて、公園までのバスに乗り、園内について入場券を買ってゲートをくぐっての狂乱の叫び声をあげるタリくん、おれ、ひなたの3人。

「都築くん、重いでしょ?ずっと持ってもらっちゃってごめんね」

「ん?いいよいいよ。こう見えて力あるんだよ。あ、ロッカー入れてこなきゃね。でも楽しみだなぁ、お昼」

「うん、そうだね!相談してご飯とパンに分けたもんね。うち、かっつんが張り切っちゃって」

「うちも。松野家のサンドイッチ、期待してるからね」

「イエッサー!都築家のおにぎりもね。私おにぎり大好きなんだよ~」

「ふふふ。お口に合うこと願ってます」

 駅で落ち合って、すぐにシゲは一緒に弁当担当の莉奈の荷物を持ちに駆け寄ってった。お金は後で清算することにして、それぞれ持ち寄り分担している。タリくん、ひなた、おれは飲み物で、ひなたがデカい水筒に麦茶沸かしてくるって言って、タリくんがコーラ、おれはスポーツドリンク(アイアヤカがCMしてるエネルゲーーーーン)を各7本ずつ、シドとぽーがおやつって割り振り。

「ひゃあ~チョコにクッキーにあめにおせんべい、それにドライフルーツまですご~いねぇ!」

「うん。アスレチックなんてめちゃくちゃ体力使うからチョコはもうたくさん用意しとかないとね。帰りの分まで大丈夫だと思う」

「わ~さすがシドくんだぁ」

 おっおー分担同士でご歓談弾んでるぜ。見慣れた制服姿じゃなく、今日はカジュアルだけど、みんなの私服姿が新鮮だな。

 おれら飲み物チームは見事に被ってジャージ素材のハーフパンツにスポーツレギンス。おれは雷柄のワッフル素材のロンTだけど、二人のトップスは派手な蛍光ラインの入った同じジャージ素材だった。今もぎゃいのぎゃいのとやり合ってる二人を見て、お似合いなんだけどなってつくづく思う。

 シゲは…板チョコにはなってないけど(笑)ネイビーのスウェットにベージュのチノパン。莉奈は細身ラインのチャコールグレーのパーカに黒のストレッチパンツで髪はおだんごにしてる。

 シドはオーバーサイズのパーカにロールアップしたストレッチパンツ、ぽーはキャスケットにオーバーオール。

「たくたく、そのロンT可愛いっ!」

「おおー?莉奈もそのパーカいいな」

「へへ、ありがと♪ミルクフェドのでね、メンズライクで一目惚れして撮影で買い取っちゃったんだ」

 ああ、前にシドが言ってたの腑に落ちたな。近々3人で原宿に服見に行く約束もしてる。

「たくたくの格好、フジロックとか行ってる人たちみたいだね。私、ああいう音楽フェス?行ってみたいんだ。全然洋楽詳しくないけど」

「うん、おれも行きたいな。別に洋楽じゃなくってもさ、今ってアイドルもフェス出てるじゃん。アイアヤカ出るやつとかいいんじゃない?」

「わあ!行きたい行きたーい!」

 莉奈は両手を合わせてぴょんぴょん跳ねて喜んだ。いいな、一緒ならいろんなとこ行きたいってどんどん膨らんでくる。シゲもにこにことおれらを見ている。

 そうしておれらはロッカーを荷物に入れて、タリくん指揮の下、準備運動をして、いざアスレチックフィールドへと繰り出した。

「うっわーすげー!!」

「全40種類かよ!ふっふふふふふ…全制覇してやるぜーっ!!」

「えーっ、すっごい本格的じゃない!?」

「ほんとだね。え、これ、ちっちゃい子もできるんだ」

 マップと目の前に広がる光景におれらは思い思いに声を上げた。なんだかハイになってウズウズしてきてスコア表を握りしめる。

「うわ、僕、気が遠くなってきた…」

「え~、ちょっとこれお水の中のもあるの~?落ちたら大変だぁ!?」

「ええっ!?そうなの??わっ、ほんとだ!わっ、なにこれー!?たらいだよ、たらい!」

 のんびりスリーは一拍遅れてマップ見て反応し合ってるや。

「りななーん、ぽーちゃーん、シードーだいじょーぶ?行くっよー!!」

「俺らマジで高スコア狙うぜ!」

 対してスポーティコンビはもう助走つけてやる気満々。

「わー、待って待ってよー!」

 先陣切るタリくん、ひなたにつづいてのんびりスリー、その横におれはついて、シゲは引率の先生のように最後尾についていた。

 始めは丸太渡りでみんな奇声を上げながらひょいひょい渡っていく。しばらくはそんなユルいのが続いて、あのシドがなんだか楽しいねって言い、意外にも苦戦しているのがシゲで、なんせちびっこ対応しているのもあり背が高すぎてあらゆるところでひっかかって、みんなで大笑いした。

そして第一エリアをクリアすると、次は池?水辺で落ちたら終わり!なひやひやゾーンでタリくん・ひなたは鼻息ジェットで早速山猿のように駆け出して、のんびりチームは目も口も一本線にしてそろーりと後ずさった。

「お、次は水上だね!さあ、行こっか!」

 シゲは3人まとめて肩を掴んで前に押し出した。

「おおおおおーう!みんなー行くぜーっ!!」

 おれは勢いよく右手を振りかざして先頭切って走り出した。

「っしゃー!ゴォーーーール!!!」

「やったー、スコア満点っ!花丸もらえたよっ!」

「って、自己申告だけどな。まあ、いいか!だははっ」

 スタートしてから約2時間。無事にみんなしてゴールを切った。隙あらばポケットに入れてきた飴やチョコをトレードし合い、脱線するのんびりスリーを引っ張りつつ、リタイア出さずに頑張ったおれら!

「やっぱり、きっつ、かったねぇ…」

「ねえ!たらいに矢切の渡し?お水に足着きそうになって心臓縮まっちゃったー」

「ぼ、僕、人生で、ここまで、動いたこと、初めて、だよ。もういい…」

 ハイタッチを交わすスポーティコンビとは対照的に、のんびりスリーは白目剥いてへたりこんでる。

「あ~お腹空いたぁ~」

「そうだ!そだそだそだ、お弁当っ!!」

 シゲはクールを装ってはいるが、水上エリアでも長身に長い脚が仇となり、莉奈が騒いでたたらいボードで一周するやつでは終わり間際でたらいがひっくり返りそうになり、慌てて岸にしがみつき、得意の跳躍力を活かして難を逃れ(周りの親子連れから拍手が起こった)、最後の再び地上の第3エリアではロープくぐり系でクモ男と化し、全く魅せどころがないまま終わった…

「おっし、じゃあお待ちかねの昼飯にしますかー!」

「おーっ!ジャイアントコーンとりななんのお弁当楽しみにしてきたんだっ!」

「わ~い!」

「僕もいっぱい食べるよっ!」

 そうしておれらはアスレチックフィールドを出て、隣の公園に向かい、ひなたの持ってきてくれたレジャーシートを広げて、みんなで輪になってシゲと莉奈が作ってきてくれた弁当を囲んでいただきますをした。

「うわっあー、すっごーい!」

「うおおおおー、おにぎり、つやっつや!サンドイッチ、すっげーおしゃれじゃね!?」             

「ハンバーグミニミニで可愛いよ!」

 シゲと莉奈がタッパーとバスケットを開けると、みんな覗き込んで歓声を上げた。メニューはシゲ担当がおにぎりと一口サイズのハンバーグにほうれん草入りの卵焼きとミニトマト、莉奈担当がサンドイッチで具はチキンカツで衣にパセリがついててソースはトマト、ゆでたまごとピクルス、薄いハムとレタスときゅうりが何枚も重なって断面がすごい綺麗なのと、皮つきの半月型のフライドポテト。

「すっげえ、これザーサイ?いや、おにぎりの具に合うんだな!うまいうんまいいーっ!」

 タリくんは左手におにぎり、右手にサンドイッチで交互にかぶりつく。

「すごいねぇ、ハンバーグのソースこぼれないようになってるんだ~!」

「僕いくらでも食べられるよ!」

「ちょっとぉ、タリ!そのチキンカツサンドあたしのだからね!!」

 もう10代の食欲炸裂まつり!で食らいつきまくるみんなを見て、ほっとしたように顔を見合わせて笑うシゲと莉奈。

「よかった。ちょっとドキドキしてたんだよね」

「うん。被らないようにLINEで相談したもんね」

 そっか…もうただのやきもちでしかないんだけど、ちょっと淋しくなる。もう二人の間にはベルリンの壁のような距離感はなく取っ払われた。

「たくたく、食べてね!!」

「!!」

 すぐ近くに莉奈の顔があって、肩を掴んで突如呼びかけられていた。本当に不意打ちだったからさ、思いっきり目を見開いて、久しぶりに真っ赤がたぎってくるや。でも、不思議だよな。おれがこうして一方的にやきもち焼いて淋しくなってると、必ず莉奈は察したようにおれに声をかけてくれるんだ。

「ごめんごめん。凄んじゃったね。あははっ。でもさ、たくたく私たちのこと引っ張ってってくれたじゃない。だからさ、すごーく感謝してるんだよー」

「いやいやいや、おれらは、さ、別に…な、シゲ?」

 照れ隠しでやっぱりシゲに振ってしまうや。ポテトをぱくっと口に入れてたシゲがん?って振り向く。

「うん。特に俺はずっこけまくりだったからね」

 涼しい顔でそう言われ、思わずおれと莉奈は吹き出した。

「ん、んんー、でも!背があるところんだり、ころびそうになるだけでもこわいもんね!わかるよ。それとさ、中学の頃の男子は体育祭の時とかすごく燃えてて、私みたいな運動できない子たちには足引っ張るなってこわかったから、たくたくと都築くんが見捨てずにいてくれて、やっぱり嬉しかったよ」

 ゆっくりと優しいトーンだけど、揺るぎないものが伝わってくる。シゲも黙ったまま髪をかき上げた。ああ、もう本当に前髪切れよ!

「友達じゃん」

「へ?」

「だってさ、おれら友達だろ?青春の仲間じゃん。誰が見捨てるかよ。みんな対等でずっと一緒だよ」

 おれも伝えよう。今はこれが精いっぱいだけどさ。ジーンとくるや…

「うん!」

 莉奈は大きな切れ長の瞳を潤ませて泣きそうに笑うと、力強く頷いた。

「そうだ。デザートもあるからね!ママとね、作ってきたんだ。クランベリーのゼリーとレモンシードのパウンドケーキ!」

 それを聞いてみんなは更に湧き立ち、パティシエの松野ママと莉奈のデザートはヴィジュアルも味もよくって、大満足に満腹になったおれらは家じゃ怒られそうだけどレジャーシートの上にごろんと横になって、みんなして澄んだ青空を見つめた。

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