EVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-6
「シゲ、小学校の頃からモテてた」
「だろうなー。男から見ててもかっこいいもんな」
「さっきのあれ、絶対告られてるよね」
「うんうん!すっごい漫画みたいだったね~」
「シゲ、つき合うの、かな?」
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EVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-5
「もーさっきのりななんにゃ参ったよー」
「あはは、ごめんごめん!」
「必死で走ってるうちにわかんなくなっちゃうよね~」
「そうそう!途中まではあっちがゴール!って思ってるんだけど、いざボールパスされるとパーンって飛んじゃうの」
授業が終わり着替えての帰り道、莉奈たちと鉢合うと、ぶーぶーむくれるひなたの両肩を揉みながらカラカラと謝っていた。
続きを読むEVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-4
西部劇調のメロディーを奏でる口笛。かつかつと床を華麗に蹴り上げるピンヒール、のつもりだろうか上履きキュッキュで教卓までくるとターンして上半身を捩じる。
「だっ、だいもーんくーん!(小声)あれ?次なんだっけ?」
「(小声)学会の論文」
「がっ、学会の論文、て、手伝いなさーい!な、なあ、えび、えび…」
「(小声)蛯名だよ」
「ああ、そうだ!えっ、蛯名くんっ!」
「(思いっきり低く美声意識)御意!」
続きを読むEVERYTHING Chpter1:Takuya and Rina 1-2
「シゲ、すごいね、この入り口と同じくらいある…」
「だはははっ、すっげ!シゲ、遅刻できねーじゃん!」
タリくんとシドがシゲを囲んで入り口を見上げてる。おれに突如浴びせられた強烈な白光、ざわめきなんて知らない3人は無邪気に中へと入っていく。
「ヤナタク!?どした?トイレ行きてえの?つき合おっか?」
真新しい上履きがちょっと堅い。わざと爪先はあずき色を選んだ。じっと見つめると、おれは顔を上げ、きょとんと振り返ったタリくんに首を横に振りながら笑った。そして中に入りかけてたシゲが外に出た。なぜか半分扉を閉めて。
さあ、もうこの中には、君がいる。
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